整備書に書いてない制御が一番厄介。回生ブレーキは“実測値で語れ”

「踏んだ感じが変」「カックンブレーキになる」
そんな現象、感覚で判断してたら一生答えに辿り着けない。
HVのブレーキ制御は“協調”と“電気”の世界。
必要なのは経験じゃなく、実測値と冷静な目だ。

目次
はじめに:ブレーキも電気で制御?HV車の回生ブレーキの仕組みをわかりやすく解説
ハイブリッド車(HV車)に乗っている方は「燃費がいい」と感じていると思いますが、実はブレーキを踏むたびに“発電”しているのをご存知ですか?
その発電の仕組みが「回生ブレーキ」。
今回は、HV車整備の現場でよく目にする回生ブレーキの仕組みと、スキャンツールを活用した点検・診断の実例まで、整備士目線でわかりやすく解説していきます。
1. 回生ブレーキとは?エンジンブレーキとは違う“電気のブレーキ”
HV車は減速時にモーターを発電機として活用し、運動エネルギーを電力として回収します。
これが「回生ブレーキ」です。

2. なぜ回生するの?仕組みとメリット
モーターの発電機能を活用し、減速エネルギーを電気に変えて再利用することで燃費向上や制動補助に貢献します。
メリットまとめ
- 減速エネルギーの回収による燃費向上
- ブレーキパッドの摩耗が少なくなる
- 熱損失の低減
図解挿入ポイント②:
「減速エネルギー → モーター → バッテリー」の流れを示す簡易チャート
3. 回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御とは
HV車は「協調ブレーキシステム」を備え、モーターによる回生制動と油圧ブレーキをシームレスに切り替えています。
主な構成と役割
- ストロークセンサー:踏み込みの検知
- ブレーキ制御ECU:ブレーキ配分を自動制御
- 油圧ブレーキユニット:物理的な制動を補完
図解挿入ポイント③:
「軽い踏力=回生ブレーキ/強い踏力=油圧ブレーキ」という制御の割合変化をグラフで表現
4. スキャンツールで見える!回生ブレーキの制御状態
回生ブレーキの調整やトラブル診断にはスキャンツールが不可欠です。
スキャンツール別の実測値項目(例)
| スキャンツール | 実測値例 |
| G-SCAN | 回生トルク、協調比率、ストロークセンサー電圧 |
| LAUNCH | モーター発電量、ブレーキ制御比率、ブレーキ温度 |
| Autel | マスター圧/油圧グラフ、再学習ステータス、協調ブレーキ診断 |
主なDTC(故障コード)
- C1A50:ブレーキシステムの故障(Toyota)
- C1252~C1256:油圧系異常
- C1345:ブレーキ初期学習未完了(ストロークセンサー学習漏れ)
診断事例(実例)
「回生が効かず、カックンブレーキに」
→ スキャンツールで実測 → ストロークセンサー電圧のズレ
→ 再学習実施 → 改善
診断画面キャプチャ挿入ポイント
- 回生トルクや油圧表示のグラフ(スキャンツール/LAUNCH/Autelいずれも可)
- DTC読み出し画面
5. よくあるトラブル事例と整備の注意点
HV車ブレーキは一見「減らないから楽」と思われがちですが、整備には落とし穴もあります。
トラブルあるある
- パッドが減らない→ ローターの偏摩耗・サビ進行
- 初期学習未実施→ ブレーキタッチ異常・DTC発生
- スキャンツール未使用のエア抜き→ 制御不良のまま返却リスク
整備時の注意点
- エア抜き後は必ず再学習
- ローター状態を目視+打音でチェック
- スキャンツールのアクティブテストでブレーキ動作確認を推奨
まとめ:止まるたびに発電している!HVブレーキの奥深さ
回生ブレーキは、「発電しながら減速する」スマートな仕組み。
見た目は通常のブレーキと変わりませんが、内部ではモーター制御と油圧制御が連携して複雑な協調動作をしています。
整備現場ではスキャンツールが不可欠!
制御状況の可視化、ストローク学習、DTC診断など、見えないブレーキ制御の点検には必須ツールです。
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元トヨタ系ディーラー工場長が発信する整備士ブログ。
資格:トヨタ検定1級/自動車検査員。
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