インバータ壊れても知らん顔?
それ、整備士としての終わりの始まりだぜ

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エンジンの温度には神経質なのに、インバータ冷却はスルー?
電子部品が“熱暴走”してるのに「なんか加速鈍いっすねぇ」じゃ済みません。
出力制限は予告なしにやってくる -整備士なら、汗をかくのは機械じゃなくて自分です。

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整備士が見ている“インバータ”の正体とは?HV車の頭脳に迫る

1. はじめに ― HV車の「頭脳」インバータとは?

ハイブリッド車(HV)は、エンジンとモーターを併用して走行するシステムですが、その心臓ともいえるモーターを動かす“頭脳”インバータです。

ガソリン車で言えば、ECUが燃料噴射や点火を制御しているように、HV車ではインバータが電気の流れをコントロールしています。
特にモーターのトルク制御や電力回生など、すべての動作がインバータを通して行われるため、その影響力は絶大です。

つまり、インバータは「HV車を動かす脳神経の司令塔」。
だからこそ、整備士にとっても診断や点検で注目すべき重要パーツなんです。


2. インバータとは何か?整備士が押さえる基礎知識

インバータは直流電流(DC)を交流(AC)に変換し、モーターを駆動するための電力に変える装置です。
逆に、減速時のモーター回生電力も制御してバッテリーへ戻します。

ハイブリッド車のインバータ構造を示す図解。

また、インバータと混同されがちな「コンバータ」は、バッテリー電圧(例:200V)をより高電圧(例:500V以上)へ昇圧する役割を担います。
多くの車種では両者がセットになって「インバータ一体型」としてユニット化されています。

主な構成要素:

  • IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ):電流の高速制御を行うパワー素子。
  • 冷却系:インバータの発熱を抑える冷却ファンや電動ポンプ。
  • コントロール基板:各種センサーと連動して電力の制御を担う電子基板。

すべてが高電圧で動作するため、絶縁状態のチェックも診断時のポイントになります。


3. コンバータの役割と構造も押さえる

コンバータ(DC-DC)はインバータに内蔵されていることが多く、高電圧(HVバッテリー)から12V系統への電力供給を行います。

この回路が故障すると:

  • 補機バッテリーへの充電不足
  • メーターに電源系統の警告灯
  • エンジン始動不可 などの症状が出ます。

また、ブレーキ協調制御に関わる「回生ブレーキ」の際には、コンバータも電力の受け渡しを担います。


4. スキャンツールを使ったインバータ診断方法

HV車の診断にはスキャンツールが欠かせません。
インバータ関連の主な実測値は以下の通りです:

項目値(例)診断ポイント
IGBT温度(冷却後)48.6 ℃60℃以上でファン作動条件確認
昇圧電圧(Boost Voltage)460 VアクセルON時に急上昇しない場合は昇圧異常の疑い
MG1電流0.5 A停止状態では基本0A付近が正常
冷却液温度42 ℃温度上昇し続ける場合はポンプ不良か空気噛み

5. インバータ冷却系の重要性とチェックポイント

インバータは発熱量が多く、冷却不良が大きなトラブルに直結します。

構成概略:

[インバータ]──[冷却水ホース]──[電動ポンプ]──[冷却ファン付きラジエータ]

                                        ↑

                                 リザーバータンク

  • インバータ温度センサー → スキャンツールで確認
  • 電動ポンプ回転数 → 実測値項目で確認可能(例:LAUNCH)
  • ファン回転指令 → オンになっているのに動作していない場合はリレー・モーター不良

 図2:インバータ冷却回路の構成図(簡易

ハイブリッド車インバータの冷却回路構成図。ラジエータ、ポンプ、インバータ冷却経路を示す

6. 【実例紹介】ハイブリッド車のインバータ故障事例

  • 事例1:冷却ファン異常 → 出力制限
    • スキャンツールでインバータ温度が異常上昇。ファンモーターの固着が原因。
  • 事例2:IGBT内部ショート → HV ECUが遮断
    • DTC「P0A94」発生。昇圧電圧が不安定で、ユニット交換対応。
  • 事例3:DC-DC異常 → 補機バッテリー警告灯点灯
    • 12V系統の充電不足。制御基板不良と判断し、インバータ一式交換。

 図3:Autel スキャン画面(DTC一覧+フリーズフレーム) → 「現在/過去」のコード表示だけでなく、フリーズフレームのデータから故障時の状態が把握可能です。


7. 安全第一!高電圧系点検の基本ルール

高電圧部の点検は命に関わる作業です。
必ず以下を守りましょう:

  • サービスプラグの抜き取り
  • 絶縁手袋・保護具の装着
  • テスターで電圧残留を確認
  • スキャンツールで「高電圧遮断状態」を確認

「慣れてきた頃が一番危ない」──初心を忘れず、安全確認を徹底しましょう。


8. まとめ ― HV車インバータ診断で整備士が信頼を得るには?

インバータの診断は、異常が出てからでは遅いことも。実測値の傾向観察や予防整備が重要です。

  • IGBT温度や昇圧電圧を記録しておく
  • 冷却水の流れ・音・ファン動作を定期チェック
  • 絶縁値の低下傾向を早期に察知

インバータはHV車の“頭脳”。その健全性を見抜く技術は、整備士としての信頼にも直結します。


インバータ整備におすすめの必須ツール

デジタルテスター
高電圧系の安全確認に欠かせない、整備士の必需品。


スキャンツール
HV車のインバータ診断にスキャンツールは必須です。現場で信頼される一台。


絶縁ドライバー
感電リスクを防ぐ安全工具。高電圧作業には必ず用意を。



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元トヨタ系ディーラー工場長が発信する整備士ブログ。
資格:トヨタ検定1級/自動車検査員。
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